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弁護士 菅原哲朗 資料1


学校事故の判例に見る学校における救急措置の危機管理について
・・・・ 学校スポーツ事故の法的危機管理 ・・・・

平成21年1月20日
弁 護 士 菅 原 哲 朗  
(日本スポ−ツ仲裁機構専務理事)

第1 スポーツ事故の本質と医療関係者の安全対策


1 スポーツは”遊び”から”健康な生活を送るための手段”へと変遷してきた。その結果、性別や年齢を問わず広くスポーツが普及し、誰もが気軽にスポーツを楽しめる環境が望まれている。
 最近、世界新記録をめざす国際競技スポーツ界の期待に応えて、ドーピングなどスポーツ医学利用の側面としてスポーツ選手の超人的能力を高める部分の研究が強調されがちだが、スポーツ医療関係者は本来の使命である各種スポーツ障害の治療とともにスポーツ事故をなくすための予防医学に傾注すべきであろう。
 安全なスポーツ環境形成のためには、スポーツを楽しむ人々の身体的な安全の確保は欠かせない。老いも若きも生涯スポーツが喧伝される今日、スポーツの持つ「内在する危険」などマイナスの部分を減少させ、プラスに転化することこそがスポーツ医療の基本である。ドーピングの乱用や高地トレーニングプログラム作りといった即物的な実践科学は本来の医学の役割ではないはずである。


2 学校スポーツ事故を抑止するためにはスポーツ医学、スポーツ体育学、スポーツ法学の専門家三者が綿密に連携する必要がある。この三者が合体しつつ、互いに監視しあう”三つどもえ”の関係にならなければ本当の安全対策はできない。そして、この関係の中で医療関係者の果たすべき役割の一つが、人体に生じた事故から「科学的にスポーツ事故の原因を究明すること」ではないだろうか。
 例えば「患者の特異体質」という言葉は、医療過誤で訴えられた医師の抗弁として使われることの多い言葉だが、科学的メカニズムがはっきりしない「特異体質」や「突然死」という言葉でスポーツ事故を片付けていたのでは、事故防止に何の効果もない。
 スポーツ医学がもっと進歩することで、本当の意味での誰もが楽しめる平等なスポーツ環境が実現できる、と言える。


 (註) 熱中症・・・「スポーツ指導者の無知と無理」によって起こると言われる熱中症事故は、そのメカニズムや予防法が既に明らかになっている。日本体育協会は1995年6月からスポーツ医科学研究の一つとして「熱中症予防ガイドブック」を作成し、スポーツ指導者の教育に取り組んでいる。しかし、現状は「スポーツ中に水を飲むと身体に悪い」「渇きを我慢し乗り越えることで根性が養われる」と言った非科学的な俗説に惑わされるスポーツ指導者が多く、未だ水分補給の必要性が医学的アドバイスとしてスポーツ指導者に十分伝わっていないことが死亡事故をまねいている。


3 一般に、学校体育やスポーツ中の事故については、学校体育・スポーツ活動それ自身に本質的な危険を含んでいることから、その「内在する危険」に伴う事故である場合には、相手方の加害行為に違法性がないとされている。
 ただ、その場合に、違法性が阻却される理由としては、スポーツ中における相手方に対する有形力の行使は、ルールに従い、または、危険防止義務を守っているかぎり社会的相当行為といえるからだとする見解と、体育・スポーツに参加する者は、とくに具体的な契約がなくても、その体育・スポーツの本質的危険を一般的に同意し、加害者の行為がルールに照らして社会的に許容される行動であるかぎり、その体育・スポーツから通常生ずることが予測されるような危険を受忍することに同意しているからだとする見解がみられる。正当行為説か危険引受説か、いずれの意見も違法性判断においては実際上、差異の生ずることはない。
また、その加害行為が、被侵害利益との関連から社会的に許される程度を超えているときは、違法性がある。このため、加害行為が、故意または重過失による場合には違法性を阻却しない場合が多い。


4 ルールについても、試合の運行に関する技術的ルールは別にして、危険性を防止するための「安全のためのルール」に重大な違反をしたことによる加害行為についても違法性は阻却されない。
 このことから、違法性の判断に際しては、体育・スポーツの種類に応じてみていかなければならない。たとえば、ボクシング・レスリング・相撲・柔道・空手のように、相手の身体を直接攻撃するスポーツの場合には、ルール違反によるときは、一般的に違法性がある。
 野球・サッカー・ラグビーのような球技では、身体に対する多少の危険が含まれていることを考慮しなければならないため、加害行為があったからといってただちに違法性があるといえないが、危険防止のためのルールに違反したプレーによる場合には、違法性が認められよう。
 スキー・スケート・体操・マラソンのような個人スポーツでも、多数の集合する場所で行われる場合には、これに参加する者は、通常予想される危険の引受を行っているとみるべきであるから、加害者の軽過失による社会的に許容される程度の被害の場合には、違法性が阻却されるが、故意・過失の場合か、その許容程度を超える被害の場合には違法性が認められる。


第2 学校事故と親に対する教師の通知義務


1 東京高等裁判所判決(昭和58年12月12日判例時報1096号72頁)
・・・小学校の体育の授業でサッカー事故が生じ、後日外傷性網膜剥離で失明した事件で、親に対する教師の通知義務を認める。


2 最高裁第二小法廷判決(昭和62年2月13日判例時報1255号20頁)
・・・しかし、最高裁は前項の高裁判決を逆転し、「担当教師には事故の状況を保護者に通知してその対応措置を要請すべき義務はない」と判断して、親に対する教師の通知義務はないと判決した。


第3 学校スポーツ事故の養護教諭に関する参考判例


1 参考判例(1)・・・児童の学校スポーツ事故(福岡地方裁判所平成14年3月11日判決:損害賠償請求事件)
【裁判所の結論】
平成11年12月4日、市立小学校の持久走大会の事前練習中に原告らの長女Cさん(当時小学校3年生・女子児童)が、運動誘発性ぜん息が発症して呼吸困難となり、走行不能となって倒れ、救急車で病院に運ばれた後死亡した事件である。
福岡地方裁判所は、児童を事前練習に参加させたこと、又養護教諭を参加させなかったことについての安全配慮義務違反など、小学校教師らに過失責任があったとの主張は認められないとして、法定代理人親権者原告ら父母の損害賠償請求を棄却した。
【養護教諭に関する争点】本件事前練習に養護教諭を参加させなかったことについて。
(1)養護教諭の意義・役割
養護教諭は、学校教育法28条1項により小学校に置くことが義務づけられている、児童の養護をつかさどる教諭(同法28条7項)であり、ここでいう「養護をつかさどる」とは、児童生徒の健康を保持増進するための全ての活動をいうものと解すべきであるから、養護教諭は、専門的立場から全ての児童生徒の保健及び環境衛生の実態を的確に把握し、疾病や情緒障害、体力、栄養に関する問題等、心身の健康に問題を持つ児童生徒の個別の指導に当たり、また、健康な児童生徒についても健康の増進に関する指導に当たるべき役割を有する者であると認められる。
(2)養護教諭の意義・役割にかんがみ、本件事前練習に養護教諭を参加させなかったことについて検討するに、
@ 本件事前練習は3年生以上の児童のみが参加したものであり、D小学校には1、2年生の児童が残っていたこと、
A 本件事前練習当時2人の体調不良の児童が保健室で療養していたことが認められること
B 本件事前練習には10人の教師が引率・指導に当たっていたこと
C 各学校の養護教諭の人数は限られている(同法103条では小学校においては当分の間養護教諭を置かなくてもよいとされている。)ことに照らせば、本件事前練習を実施するにあたり、養護教諭に連絡し得る態勢を取りつつ、養護教諭をその本拠地である保健室に待機させておくことにも合理性があるというべきであるから、本件事前練習に養護教諭を参加させなかったことについて、D小学校教師らに過失があるとは認められない。


2 参考判例(2)・・・高等学校における養護教諭の生徒看護上の注意義務(徳島地方裁判所昭和47年3月15日判決判例時報679号63頁:慰謝料請求事件)
【裁判所の結論】
<主文>
1 原告らの請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。


3 参考判例(3)
・・・高等学校における体育授業における事故(東京地方裁判所昭和63年2月22日判決:慰謝料請求事件:判例時報1293号115頁)
【裁判所の結論】
体育の授業中、2人1組で肩車をしていた県立高校1年生男子が、相手を肩に乗せたまま腰が砕けて尻餅をつき、第四腰椎圧迫骨折の傷害を負ったもの。
 ただし、担当教師及び養護教諭の過失を認めず、請求を棄却した。


4 参考判例(4)・・・学校医の義務(大阪地方裁判所昭和48年11月20日判決:損害賠償請求事件:判例時報749号87頁)
【裁判所の結論】・・・請求棄却。
B医師がC高等学校の学校医であることは当事者間に争いがない。原告らは、同人が学校医として個別指導を欠いた点をもって注意義務違反と主張するのであるが、A子の疾患については、現今の医学上治療の方法がないなどさきに認定したとおりであるから、ただ漫然と個別的指導をする義務があるというだけでは、同人の過失を認定するわけにはいかない。


5 参考判例(5)・・・水泳事故と心臓マッサージ(千葉地方裁判所昭和49年11月28日判決:損害賠償請求事件:判例タイムズ320号222頁)
【裁判所の結論】・・・請求棄却。
☆ 被告B教諭及び学校医の責任無し。


6 参考判例(6)・・・高等学校の集団検診と学校医の関係について(東京地方裁判所平成7年3月29日判決:判例タイムズ901号216頁:損害賠償請求事件)
【裁判所の結論】
 請求棄却。
【事件の概要】
 体育授業の2000m持久走で急性心不全により死亡した高校1年生(男子)の遺族が心電図検査など集団検診を実施した私立学校と委託された有限会社に対して、要精密検査の指示など安全配慮義務を尽くさない過失による不法行為および債務不履行として4743万円余の損害賠償を請求した。
【裁判所の判断】
☆ 争点について・・・(心内膜床欠損症の安全配慮義務と予見可能性。)について・・・
 「心内膜床欠損症は突然死を起こす病気とは考えられておらず、年齢や生活状況に鑑みれば、軽度のものと想定されるところ、右の程度であれば、運動制限等の措置をとる必要はない。」
【解説】
 この判例は学校側に安全配慮義務違反の有無の検討要素として「心内膜床欠損症は突然死を起こす病気とは考えられておらず、年齢や生活状況に鑑みれば、軽度のものと想定されるところ、右の程度であれば、運動制限等の措置をとる必要はない。」そして「健康診断において、心電図検査及びレントゲン検査の結果について、異常を認めない旨の通知を受けており、しかも、内科検診を担当した医師による聴打診検査においても、特段の異常な所見は発見されておらず、学校医も右各結果をもとに総合判定をしている」と内科医師と学校医の判断を根拠に事故の予見が不可能と判示する。


7 参考判例(7)・・・健康診断の結果通知義務(大阪高等裁判所平成9年4月25日判決:判例時報1613号106頁:損害賠償請求事件)
【事件の概要】
 平成5年11月の日曜日夜に野外のジョギング中にウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群(WPW症候群)に起因する発作的頻脈性不整脈の発生による急性心臓機能不全により歩道上の草むらに倒れ死亡した中学1年生(男子)の遺族が中学校の健康診断でWPW症候群(経過観察)診断されており、心電図検査など集団検診を実施した市立中学校に対して、中学校長が保護者たる父母に通知義務を怠るなど安全配慮義務を尽くさない過失による不法行為および債務不履行として4989万円余の損害賠償を請求した。
【裁判所の結論】
 4989万円余の請求にかかわらず、父母に各5万円の請求認容した。
【裁判所の判断】
 「生徒及び保護者には健康診断の結果の通知を受ける法的権利を有しており、中学校には同通知義務がある。」
【解説】
 この判決は「生徒及び保護者には健康診断の結果の通知を受ける法的権利を有しており、中学校には同通知義務がある」としたが、仮に診断の結果が父母に通知されたとしても直ちに死亡した被害者に適切かつ有効な治療がなされる、あるいはジョギングを禁止できたとか、日常生活でWPW症候群に起因する発作的頻脈性不整脈の発生による急性心臓機能不全による突然死を、防止ないし予見できたと言えず「本件不通知と死亡との間に因果関係がない」と判断した。
 それが被害者の相続人である両親の4989万円余の請求にかかわらず、父母に精神的慰謝料として各5万円の請求認容となった理由である。


第4 スポーツ法学・・・学校スポーツ事故判例の見方


 判例を通じてスポーツにおける危機管理手法(リスクマネジメント)を学ぶ。スポーツは傷害の危険を伴うため、ルールを定め、スポーツ事故の発生を防止している。安心してスポーツを楽しめる「スポーツ環境」構築のためにはスポーツ指導者が、安全指導と安全管理を徹底し、ヒューマン・ハード・ソフトの安全配慮義務を尽さねばならない。
 民事・刑事の基礎的な法律知識を学び、不幸にして学校スポーツ事故訴訟に遭遇したとき法的責任の有無を適切に対処できるようにする。


1 民事訴訟
不法行為責任(民法709条)
  @故意または過失に基づく、
  A他人の権利ないし利益・財産を違法に侵害する行為、
  B責任能力の存在、
  C因果関係の有無


 民事訴訟とは、個人や私企業など社会生活における私人間の法律関係(売買契約・賃貸借契約などの権利義務の関係)に関する利害の衝突・紛争を、国家裁判権の行使によって民法や商法など法律に基づいて強制的に解決する手続きである。裁判は国家機関としての裁判所が、国家権力の発動としてその民事紛争を解決することである。自己の権利が侵害されたと考える個人が存在する。その私人が私法が認めた法的地位の確保をしようとするならば、自ら原告として裁判を提訴し、証拠を提出して裁判所を納得させる必要がある。民事訴訟法は原告と被告が対等・平等に主張・立証を尽くさせる手続き(自分の言い分を十分にかつ無駄なく言えるプロセス)を定めた法律である。裁判官は当事者が提出した証拠を前提に、民法や国家賠償法などの法を適用して判決を下す。損害賠償金が認容された判決に任意に従わない場合は、原告は被告に対し判決を債務名義として強制執行でき、預金や不動産を差し押さえ取得できる。


2 違法性と「安全配慮義務」について
具体的な紛争事例を考察する場合、証人の発言や専門家による意見を総合し、原告の主張する損害賠償請求とそれに対する被告の抗弁(特異体質による「不可抗力の抗弁」など)が議論され、最終的に裁判官の判断が下される経緯を読み取る必要がある。違法性は裁判所が事件の事実関係を検討し、総合判断に因って違法性が有るか、否か、判決する。裁判の場では「安全配慮義務」という注意義務を尽くしたか否かが、過失責任の基礎であり事故発生に至る過程のなかで問われることになる。
 したがって、学校スポーツ事故の場合、過失責任を問われる前提として、加害者に「安全配慮義務違反」という注意義務違反がなければならない。そして、注意義務違反となるには加害者には「予見可能性」と「回避可能性」が存在しながら、不注意によって被害者を加害したという事実が裁判によって認定される構造となる。
 つまり、安全配慮義務とは、一般的に「ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務である」と定義づけられ「その内容は、当該法律関係の性質、当事者の地位及び安全配慮義務が問題となる具体的状況によって決せられる」と判例は言う。


3 安全確保のための6の指針・・・スポーツ事故防止の安全指導と安全管理
@ 子供にスポーツルールを守ることを教えよう。(安全指導)
A 絶対に子供にケガをさせない心構えをもった活動計画の立案と実行をしよう。(安
全管理)
B 危険を感じたらすぐに安全対策に立ち上がろう。
C 最悪を想定し、活動の中止を恐れない。
D 地域の実情に応じた安全指導マニュアルを創り上げよう。
E 保険に加入しよう。


4 スポーツ事故のリスクマネジメント
リスクマネジメントという言葉には明確な定義はない。それだけ広範な概念と言えよう。狭義の定義としては「危機管理手法」つまり、リスク(危機)を上手にコントロール(支配管理)するスキル(技術)として想定される。
その内容をより噛み砕くと
@ 将来生じるかもしれない事故・紛争やトラブル等不幸な事態によってもたらされる精神的・経済的損失を未然に回避する手法
A 危機を回避出来ないまでも、次善の策として被害の拡大を防止し、軽減する手法
B さらに既に発生してしまった事故・紛争やトラブルについて、最も有効かつ効率的な対処をなす手法である。
この手法をスポーツ活動の場面における事故に当てはめると、まず安易で消極的な安全対策は、危険から逃れることであり、内在する危険をもつスポーツ自体を辞めればよいことになる。しかし、これではスポーツを望みながらスポーツを拒否する自己矛盾となる。そこでスポーツを楽しむ積極的な安全対策は、スポーツに危険がともなう限り、完全な事故防止は不可能であるという現実に立脚することだ。スポーツ指導者の視点に立てば、スポーツ競技参加者の心と身体の状態を把握し、危険を予知し、いかにすれば事故の発生を少なく、事故の被害を小さく出来るか、とのリスクに立ち向かう実践的なリスクマネジメント指導法から安心できる安全対策が生まれるのである。


註:安全管理システムの構築・・・安心できるスポーツ環境構築の視点
☆ 思わぬ事故やケガを防ぐリスクマネジメントはヒューマン(ひと)・ハード(用具・施設)・ソフト(プログラム)の三つの視点から考えるべきである。
☆ 競技者の健康状態を確認する・・・眼の輝き、肌の色、衣服など指導者が確認するだけでなく、体調を自己管理できるよう教育する。
☆ 用具・施設を安全点検する・・・事前に器具の正しい取り扱いの指導や施設管理者からの危険情報の入手なども大切である。
☆ 無理のない活動・運動のプログラムが心の余裕をうむ・・・老人か、子どもかスポーツ参加者の能力に合わせて楽しい計画を立てるべきである。


5 「過失相殺」について
 過失相殺(カシツソウサイ:民法722条2項)とは被害者側に過失があったとき、民事責任による損害賠償額から裁判官の判断によって一定額を「被害者の責任負担部分」と認めて減額し、損害の公平な負担を図ろうとするものである。そして、被害者の過失とは「被害者側」を意味し、父母の過失によって賠償額を一部控除された判例もある。
 また、民事訴訟の場では、裁判の進行にともなって裁判官から和解の勧告が出される。判決では金銭賠償を命じる主文だけである。和解条項ならば金銭賠償だけでなく、融通性があり被告から謝罪の言葉を込めた文書をも獲得できる可能性もありうる。他方、特に気をつける点は過失事件の場合、刑事裁判と異なり、民事裁判では当事者間の公平の観点から「過失相殺」をされることが多くあることである。もちろん被告は当然、過失相殺の抗弁を提出する。


6 紛争に対処する6つの指針
@ 人命救助など果たすべきことをまず果たす。
A 事故の事実関係を把握する。
B 先例を学ぶ。
C 説得と論証。
D 仲間・父母後援会の信頼を得る。
E 自己の行動に正しいという確信を持つ。


以上


by MLSO