淫風宣揚のデモンストレーション

 ネットのニュースを見ていたら、台東区にある吉原という場所で「花魁道中」なるイベントがおこなわれたと書いてあった。
 それを報じる記事を引用すると、まずタイトルが「現代に蘇る「花魁道中」 “主役”は地元の大学院生〈週刊朝日〉」とある。週刊朝日での報道らしい。記事の中身はというと、
「・・・美しくも着飾った花魁が、禿(かむろ)や振袖新造などを引き連れ、吉原を優雅に練り歩く花魁道中は、客以外にも、沿道の多くの人の心を惹きつけた。その優美な姿をひと目見ようと、たくさんの見物客が詰めかけたという。」
 なるほど。そういう花魁道中を再現したわけで、
「花魁の中でも、高嶺(たかね)の花である太夫は別格の存在だ。太夫の役を務めたのは、地元の大学院生の・・・(23)。もう4回目になり、堂々とした足さばきを披露した。
 歩道には、たくさんの見物客。時代を超え、多くの人を魅了する花魁。江戸の世も花魁道中見たさに集まる人々の様子はこんなふうだったのだろう。」と結ぶ。それにしても女子大学院生が太夫役か。
 たしかに花魁道中はきらびやかだったんだろうね。オバマが来たときも銀座に人が集まったというけれど、記事によると何だかそれ以上に文化的な見世物に読めてしまう。物見遊山が大好きだった江戸時代の民衆の健全な好奇心の対象って感じ。人々がそんなに見たがるような誇らしいものなんだったら、文部科学省(だっけ?)推薦の日本文化遺産的なお墨付きでも与えればいいんじゃなかろうか。いや世界遺産立候補はどうだ。でも、そうか?
 なにしろ、人身売買の犠牲になって自由を剥奪された売淫婦の中からいちばんの美人を選び出し、きんきらきんの衣装を着せただけでは事足りず、頭にはかんざしを目一杯突き立てて、足にはギクッてしたらどうするんだと心配したくなるような塗り下駄をはかせて八文字に練り歩く。前後には提灯を下げた花魁が付き従い、新造はでっかい傘を差し掛け、禿もひっついて歩く。遊郭の番頭さんもご一緒することはもちろんで、先頭をきってのし歩く鳶の頭は手にした金棒を突き突き警護に当たるのが本来の花魁道中だ。
 なんだかものすごいことになっているけれど、こういう売淫のデモンストレーションが花魁道中である。要は、集まった群衆を前にして、「わずか○○円均一でこういう美女の貞操を自由にできるのだ。さあ、早く登楼して思いのままに姦淫せよ。○○円を支払ってこの女を玩弄せよ!」とアピールしまくる淫風宣揚の大デモンストレーションである。「多くの人を魅了」と記事は書くけれど、それってどういう意味だ? つま先だった見物人男子が一人残らず目玉を真っ赤に血走らせたってことか? で、その視線の先にさらされるのが足さばきも堂々とした四回目参加の女子大学院生。そんな汚眼で見られて将来は大丈夫か? そんな情景をいっぱしの文化行事がおこなわれたかのように報道する週刊朝日、大丈夫か?