夫婦別姓訴訟 ついに最高裁大法廷へ!

私も弁護団の一員である夫婦別姓訴訟が、最高裁大法廷に回付された。

最高裁への上告事件は、普通は3つある小法廷(5人の裁判官で構成)で審理されるが、
判例変更をするとき、憲法違反の判断をするときなどは、
すべての裁判官で構成する大法廷(15人)で審理しなければならない。

大法廷回付により、例外なく夫婦同氏を強制する民法の規定に対して、
最高裁による憲法判断が示されることが確実になった
(勝つか負けるかは、現段階ではわからない)。

今朝の朝刊で、どの新聞も大々的に報じている。

なお、この裁判は、夫婦別姓訴訟と名乗ってはいるが、
夫婦別姓制度の是非という政策を論じるものではない。

夫婦同氏が強制されていることで「氏の変更を強制されない権利」が侵害されていることを問うものである。

結婚により氏が変わることを喜ぶ人が多いことを、何ら否定するつもりはない。

しかし他方で、氏が変わることに苦痛や、自己喪失感や、職業上・生活上の不利益がある人が少なからずいること、
その不利益は、想像以上に深刻であること、
氏の変更を望まない人でも、結婚をする以上は、氏の変更を強いられてしまうこと、
夫婦同氏を強制する現行制度が続く限り、結婚による氏の変更に苦痛を覚える人は救済されないこと、
を問うているのだと私は考えている。

(なお、上記は私の個人的見解である。
弁護団としてまとめ上げた見解については、弁護団ホームページに上告趣意書等の書面を掲載してあるので、
ご参照いただければありがたい。)

原告たちが現実に味わってきた苦難に正面から向き合う判決となるよう、
今後も微力を尽くしたい。

弁護団ホームページ↓
http://www.asahi-net.or.jp/~dv3m-ymsk/index.html

初めての上海出張

2泊3日で上海に出張してきました。

驚いたのは、その活気と、意外と整然とした街並みでした。

行く前は、中国人は公共の場で唾を吐くとか、マナーが悪いとか、いろいろ聞かされていましたが、
少なくとも上海の地下鉄では、電車内で携帯でしゃべる人も、飲食する人もおらず、
かなりマナーは良い印象を受けました。

もっとも、田舎だと全然違うようですし、
何しろ、いたるところに公安の目が光っている監視社会だから、マナーがよいのかもしれませんが。

上海で宿泊したホテルは上海高島屋の近くで、安心して歩ける街区でした。暗くなってから近所の足裏マッサージ店に行きましたが、危なっかしい物売りや客引きに遭遇することもなく、日本とあまり変わらない歩き方でマッサージ店にたどり着きました。

魔都上海の夜とて、かなり警戒して歩いていましたがなんだか拍子抜けで
むしろ、ロンドンの夜なんかのほうが怖いのではないかと思うほどでした。
マニラやバンコクの混沌ぶりとは全く違います。

とはいえ、いいかげんなところは徹底的にいい加減。

ホテルでは、営業時間真っ最中であるにもかかわらず、ロビーで足場の解体工事が行われていました。
壁面やガラス窓の
養生もせず、特に覆いもかけずに
3階くらいの高さから平気で配管のようなものを下に投げ落としていました
(危ない!)。

地下鉄では手荷物検査がありますが、金属探知機はないので、
爆弾を人が抱えて電車に乗ったってわかりません。
それどころか、半分くらいの人は平然と手荷物検査を拒否して、中に入ってしまいます。

意外と整然、でもやっぱりいい加減。

上海の街なかには有名ブランド店が並び、商業活動の自由はあるようですが、
フェイスブックやGMAILは遮断されて使えませんでしたし、
いたるところに政府のスローガンが掲げられているのは、やはり独裁政権だなあと思わされました。

このように、先進国とは言い難いところも多々ありますが、
やはり、中国は日本人にとって行きやすく、居心地も悪くない場所だと思いました。

何と言っても3時間で行ける近い国。
デパートでは日本の食材も豊富に手に入ります。
マッサージ屋やレストランでは、日本語のできる店員さんが多く、
多くの日本人が上海に住んでいることを実感します。

まさに一衣帯水の地。
政治的な意見の対立があったとしても、
首脳会談も開かないまま日中関係を漂流させるべきではない、と改めて思いました。

委任状に公証人の認証が必要か?【日中法文化考】

弁護士は、本人からの依頼を受けて、裁判をする。

架空の依頼であってはならないので、われわれ弁護士は裁判所に「委任状」を提出して仕事をする。「訴訟代理人の権限は、書面で証明しなければならない」(民事訴訟規則23条1項)。

しかし、実は委任状に押される印鑑は、実は実印でなくてもよい。印鑑証明の添付さえ要求されない。
私の経験では、海外にいる外国人が依頼者であったとしても
「この署名は本物ですか?」と言われたことはない。

ところが、中国の弁護士に日本人を当事者とする事件を依頼したところ、
委任状の署名欄に日本の公証人の署名認証をもらってほしいと言われ、
一瞬たじろいだ。

しかしよく考えてみれば、日本の民事訴訟規則23条2項には
「前項の書面が私文書であるときは、裁判所は、公証人その他の認証の権限を有する公務員の認証を受けるべきことを
 訴訟代理人に命ずることができる。」とある。
単に裁判所が、公証人の認証を受けろともいわず、実印+印鑑証明の添付さえ要求しないという運用をしているだけの話である。


偽物の代理人が法廷に来るのでは正しい裁判などできるわけがないから、
本来であれば「訴訟委任状に三文判しかない」というのは、危険極まりない事態ともいえる。しかし、日本では弁護士に対する信頼が(今のところは)厚いから、「弁護士さんが架空の委任状を持ってくるわけがない」と思われているのだろう。

日本では、弁護士が金融業者に対して受任通知を出して取引履歴の開示を求める場合でも、
「委任状を出せ」と言われることはめったにない。
日本の法実務は、弁護士に対する性善説の上に成り立っているといえる。

これに対して、中国では、「他人を信用してはならない」というのが原則であり、
そのため、公証人の認証もない委任状なんて論外だ、ということなのだろう。

もっとも、弁護士が代理人として作る訴状などの書面にも、
依頼者本人がサインし、公証人の認証をもらってほしい言われたのには驚いた。

さすがに中国でも、代理人弁護士が作る書面にまで本人のサインは要求されないのが普通であり、本人のサインは不要との判例もあるそうだ。
しかし、裁判所によっては、未だに本人のサインを要求するところもあり、
本人のサインがあるほうが無難、だという。

これも、弁護士に対する性善説が通用するかどうかの違いであろうか?