• キーストーン法律事務所

あれはまだフランの時代

パリで何を飲んで食ったか     1999/1/2-9

1 タイ料理のテイクアウトの店のチャーハン
1月2日の夜は翌日からの行動にそなえて早めにひっくりかえって寝てしまおうと思い、小さな店でハイネッケン3本を買い込んだ。何なのかわからないような店で、雑貨屋というのもあたらないし、酒屋かというとそうでもない。チーズや酒を間口も奥行きも3メートルくらいのスペースで売っている。日本ではちょっと見られない商売だ。あまり品の良くない中年男が2人店先でぼーっと外をながめていた。チーズと酒屋なのだと言ってしまえばそれまでだが、良く分からない。
腹も減っていたのでほんとうはビールばかりでは不満である。とはいっても温ったかいつまみのある一杯飲み屋なんか無い(カフェにちょっとくらいのつまみはあってもフランス語がじゃまをして敷居が高い)。買い物に出かけたのは夜の8時すぎのことだった。この時間でも開いている店がいくつかあって、のぞくとパン屋や肉屋。店の前には行列ができている。うまそうだなあ。肉屋のウインドーの先にはジビエというやつだろう野鳥の死体がぶらさげてあった。どういうわけか在庫の肉類の赤さがどれも濃く見える。照明のかげんだろうか。陳列のしかたもランダムで美しめだ。ハムなんかもあるから酒のつまみには望ましいところなのだが、しかしここでも言葉の問題がある。こういうものは量り売りに違いないからフランス語で量を表現できなければどうにもならない。おおぜいの前で混乱を極めるという事態はちょっと避けたい。まして今日パリに着いたばっかりなのだから、めんどくさいことはできるだけ避けたい。
そんなことを考えて歩いていたらタイ料理の持ち帰りの店がみつかった。間口2メートルくらい、奥行き4メートルくらい。ガラスケースの中に炒め物や煮物が何種類もならんでいた。そしてラッキーなことに店番は丸顔の若い女性であった。<タイ料理なんだからタイ人>ともかぎらなかろうが、そんなかんじの人で、清潔なショートカットが好ましかった。というわけでその店に入り、身振り手振りでチャーハンをパックに入れてもらい電子レンジで温っためてもらった。量の問題はパックをもったお姉さんの「これくらいか?」という身振り手振りのおかげでなんとかなった。
うまかったね。タイ米だからなんとなく軽くて頼りない食感だったけど。ひさしぶりの長粒種のご飯だもんだから、味というよりも「こういうチャーハンをパリくんだりまで来て食べているのだ!」という感慨のほうが大きかったのかもしれないけど。
もっといろんなものを温っためてもらうんだった。春巻きも何種類かあったんだし。
この店の手前の魚屋の店先には牡蠣が積み上げてあった。生牡蠣も食べたかったけれど、今夜はあきらめよう。

2 モンパルナス駅のサンドイッチ
1月3日は朝から歩きどおしだった。ホテルを出てモンパルナスの墓地で墓参りをすませたら、もう午後2時。とたんに何か食べたくなってきた。このあともずっと歩き続ける予定だったので、短時間に簡単に食べられるものを捜した。そしてモンパルナス駅3階になるのかどうなのか判然としないフロアの売店のサンドイッチに目をつけた。そのときとても寒くて、本当は立ち食いうどんがいちばん望ましかったのだが、ここの駅には無いし、しかたなしに温かくないもので妥協するよりほか無かったのである。
はっきりいってあまり気はすすまないのだ。食パンの白身の部分でできている上品なサンドイッチならまあ良かったのだが、しかしそういったものはショーケースの中には無かった。あったのはホットドッグ向けの長いかたちをしたパンを切り裂いたところに具を詰め込んだものだった。こういうのはもちろん日本にもあって、Sで始まる名前のもっぱらそういうスタイルのサンドイッチを扱う店のものなど、しかたなしに食べたことはあっても、うまいと思ったことは一度もない。選択できる具としては、レタス・玉葱・トマトを基本として、その他ハム・チキン・ターキー・ベーコンがオプションとして用意されているのだが、どれを選んでも全て同じ味なのである。おそらく、パンと具の体積比、とりわけメインの具であるハム等の分とパンとの体積比に考え違いがありすぎたために具の特徴が消し飛んでしまっているのだと思う。せめてパンの味がよければ救われるのだが特記すべき味わいはまるでない。食べ終わっていだく感想は、ようやっと食べ終わったなあ、という動物的な充足感のみなのである。かなしいよね。
だから当然この駅のも気はすすまないわけだ。26フランで、日本円に換算すると約500円強といったところだが、ま、うまくなくとも異文化体験としては貴重であるし、まずかったらそのことを記憶にとどめてさっさと捨てようと考えた。
スタンドは本来の駅のお客さんでいっぱいだったから、駅前の広場に出て、ちょっと風が強くて寒いけれどがまんして食べることにした。モンパルナス駅とモンパルナスタワーにはさまれて、かなり目立つ場所なのだ。そんなことをしている人はだれもおらず、ほんの少しだけ恥ずかしかったが、いいや。
売店のお兄ちゃんから受け取ると、大きさの割にとても重かった。どういう密度になっているのだろう。広場に出て袋から出してみると、表面がえらく固い。食いちぎれるんだろうか。
味に期待していないことは上記のとおりだが、頭あるいは尻のあたりからともかく食べはじめた。するとたしかに表面は固いのだが、よくあるフランスパンのように食いちぎるのも難儀というものではない。そして、味は、そこそこにうまい!
具はトマト・レタス・玉葱の薄輪切り・ハム・ゆで卵の薄輪切りだから何の変哲もないものばかりだが、サンドイッチを食べているという味がちゃんとするのだ。こういうと消極的な物言いになるが、まあサンドイッチなんてどんなにうまくたって限度があるから、そこそこにうまいということはサンドイッチの役割をきちんと果たしているということである。分析的に味わうと各具それぞれの個性が生き生きとしているなどということは全くなくて、誰もがサンドイッチとはこういう味だと考える程度の渾然一体となった味ではあるが、所詮そういうものだろう。サンドイッチなんてもともと深く味わって食べるもんじゃないよね。
長さは30センチ弱程度あるから、とても食べきれないだろうと思っていたが、どういうわけかほとんどいただけてしまった。
駅前の広場にはついに同類はあらわれなかった。そのかわり鳩がたくさんと雀が2羽寄ってきたので、パンのくずをなげてやった。のろまな鳩に比べると雀は小回りが効いてすばしっこかった。ちょろちょっと立ち回っては鳩のくちばしの寸前でパンを奪っていた。それにしても雀が寄って来るっていうのは愉快なもんだ。
このあと、駅からサン・ジェルマン・デ・プレのほうへずっと歩いた。そのあいだじゅう上口蓋部に受けた傷がひりひりして往生した。安心しきって思いきり咀嚼したのがいけなかった。想像以上にパンの表皮のエッジは鋭かったのだ。上下逆さまにして食べることをすすめる。

3 モノプリで買ったおかず
昨日に引き続いて4日も歩きどおしだった。無理をしすぎて足を痛めた。ブローニュの森の縦断がいけなかったのだ。凱旋門にたどり着いたときは左膝が痛くて痛くて、階段を降りることができなくなってしまった。そのあとバスに乗って、その日の行動を終えたのがバスティーユ。ここの近くのモノプリというスーパーで夕食の算段をした。
買ったのは、スモークサーモン(16・8フラン)、生ハム(18・7フラン)、カマンベールチーズ(16・2フラン)、シャンパン(84・5フラン)。その後、メトロ8番線でホテルへ戻った。
さて味であるが、その前に値段である。サーモンは安かった。もちろん量にもよるわけだが、買ったのは大ざっぱに言って一人で食べるには多いなあというくらいだから、日本円にして約350円という値段は驚愕ものである。生ハムも同様。ずらっとならんだカマンベールも同様で、なにしろ17フラン以上のものが無い。11月にSOGOで買ったのとおんなじのを売っていたが、約17フランだった。SOGOじゃ1300円くらいしたぞ!いくつもの銘柄がそろっていたシャンパンにしても、ちゃんとしたシャンパーニュのくせしてせいぜい3000円くらい。ドンペリなんかは9000円近いのがあったけどそんなのは例外みたいだった。購入したのは2000円しないものだった(おみやげに2本買ってかえった)。
そして味である。サーモンはちょっとしょっぱかったけど上出来。いささかも筋っぽいところがなく、舌触りもなめらかにいただけた。生ハムは表面がロウのような舌触りだったのが難点。それにしょっぱすぎる。カマンベールはとてつもないにおいの割には味もそっけも無いというハズレものだった。腐敗臭と形容しても大げさではなく、朝、窓をあけはなって空気を入れ替えたほどだ。シャンパンは良かった。国内で2000円くらいとなると荒っぽい果実味の残った発泡ワインということになってしまうけれど、これはそういうことは全くないところがさすが。2時間くらいであけてしまった(ただし、シャンパンはきちんとした味があることがかえって裏目に出ることもある。日常的に飲むにはビールのほうが味わいが薄くて個人的には好きだ)。

4 オルセー美術館の「ゴッホとミレーの食べ放題」
5日は朝10時ちょうどから午後3時45分までずっとオルセー美術館にいた。収蔵品はともかく、問題は何を食べたかである。カルトミュゼの3日券を買ってあるからいつ外へ出て食事をしてもいいわけだが、なにしろ足が痛いからあまり動きたくない。だから昼食は美術館内の食堂ということになる。
ここでは「ゴッホとミレーの食べ放題」という趣旨不明のものを注文した。それとは別にミネラルウオーターも頼んだ。しめて120フラン。
要するにこれはバイキングであって、なんというか、まずいパーツの寄せ集めみたいなしろものだった。①パンはカゴにはいったものがいやおうなしに供されるから選択の余地無く可もなく不可もない、②野菜はレタスくらいしか用意されておらずつまらない、③肉っぽいものはハムが2種あるだけでマズくはないにしろ口が飽きる、④ポーチドエッグの陸に揚がったものとゆで卵の薄切りがあって両方食べたけれど要するに卵でしかない、⑤鮭の姿焼きの断片を取ることができるがシャケはシャケであって特別の調理がしてあるわけでもなく感慨は無い、⑥鰯の酢漬けのコマ切れがボールに一杯あったけれど誰も取るやつはいない、⑦オリーブの実がどんぶりに山盛りになっていたけれど他に付け合わせるべきものは何も無く正面きって間が抜けている。
以上、120フランもするわりには不満が残りすぎるというものだった。しょせん美術館の食堂なんてえものはスキー場のレストランか立食パーティーの模擬店みたいなものなのだ、たとえここがパリであったとしても。デザートに出てきた3色アイスクリームも味がやけにしつこくて胸がむかむかしてきた。最もうまかったのは水である。ちくしょう!!

5 「上海」という名の中華テイクアウト
オルセー美術館のあとオランジェリーをハシゴするつもりで文字通り左足をひきずりながらやっとのことでたどりついたと思ったら、しばらく閉館という張り紙があった。くたびれはててホテルに戻り夕食を考えると、近所の店で調達するのが最もてっとり早いという状態になってしまった。ホテルはメトロ8番線の南の終点であるバラール駅のすぐそばに位置している。観光名所などは何も無くて、むしろアパルトマンばっかりの住宅地である。だから近所には食料品を扱っているちっちゃな小売店がたくさんあるのだ。そのなかに「上海」という名前の中華屋があった。店の構えはタイ料理のテイクアウトとかわらない。店に入ると、やっぱりここでも丸顔のやさしそうな東洋人のお姉さんが店番をやっていた。
話しかけられたけど何を言ってるのかまるでわからないから、小首をかしげてにこにこしていた。ケースの中を眺めるとどちらかというと実体が何かわからないもののほうが多かったので、一番無難なブロッコリーのソテー100グラムとチャーハン100グラムを頼んだ。もちろんつたない英語と「スィルブプレ」とのチャンポンで頼んだのだ。当然チャーハンのことは「チャーハン」と発音した。お姉さんも「チャーハン!」とおおきな声で応えくれた。しめて17・8フランだった。
やっぱりこのほうがうまい。オルセーの120フランのバイキングはありゃあいったいなんだったのだ。ただしブロッコリーは野趣に富んでいるというか何というか、日本のものよりも相当青っ臭かったけれど。また、チャーハンはうまいのだが、入っている野菜が日本のスーパーの冷凍食品コーナーにある「ベジタブルミックス」というのはいかがなものか?興がそがれることはなはだしい。
(6日の夜も「上海」でテイクアウトにきめた。このときはシューマイ5個とチャーハン。シューマイは「シューマイ」と発音したら、お姉さんはすぐに理解してくれて、同じく「シューマイ!」と応えてくれた。味は日本のと同じ。)

6 ルーブル宮地下ショッピングセンターの軽食屋
遠目には古めかしい石造建築にしか見えないルーブル宮はかなり現代的な美術館仕様に整備された内装に仕上がっている。近目にも歩いてもただの石畳としか思えないルーブル宮前のピラミッドの地下は、実は相当な面積をもった新しいショッピングセンターに改造されている。そこにはセルフサービスの軽食レストランもあって、なかなか便利にできている。たとえていうなら、マグドナルドのようなカウンターの店が何種類もならんでいる前に結構ちゃんとしたイスとテーブルが備えてあるといった感じである。ここにはルーブル鑑賞がてら3回かよった(ルーブル入場にはピラミッド前の行列を避けるウラ技があって、この方法はガイドブックにも載っているのだが、いささか分かりにくい。やってみるともうピラミッドの玄関口から入ろうという気はなくなる)。
3回を一緒くたに書くが、問題は2点あって、1点目は天井に書いてあるメニューが読めないことからくる注文の困難性、2点目はどれもまずいこと。
 ① 国籍不明料理のカウンターで注文したお皿によそってあった(たぶん)サフランライス。パサパサのポッロポロ。お皿をかたむけるとパラパラとこぼれ出ていく。こういうのはロンドンでも経験したからびっくりはしないが、しかし味が救いようもないくらいに悪く、しかもところどころカチカチにこわばった固まりが混ざっている。こういう「ご飯」をただちに飲み込むことはできないからまじめに咀嚼しなければならないのだが、良く噛んでも結局お米ひと粒ずつが粉っぽく粉砕されるばかりなのでまるでうまくない。塩味があればまだしも、それもない。おかずはどうかというと、次に説明する。
 ② 上記おかずであるところの鳥肉に火を通したもの。味が付いておらず、ぱさぱさ。ソースも無くて、とてもじゃないが上記のごときご飯のおかずにはならない。
 ③ 上記に付属していたレタスとトマトの微塵切り。これはそのものズバリの味がして、それ以外のなにものでもないという最低限の身分が保障されていたから、○。ところで、こういう取り合わせから推し量るに、鶏肉とライスとレタスとトマトを混ぜて食べろという趣旨のメニューなのであろうか。まさか・・・
 ④ 同じカウンターで注文したお皿によそられていた挽肉の焼き物。名前は分からないが、かたちはハンバーグそっくりで、それでいて原材料は挽肉ばっかりのような食感だった。ミディアムかウエルダンかを聞いてきたくらいだから少しは人手がかかっているのだろう。まずくはなかった。表面はかりっとしていて、口当たりはなかなかよろしい。肉の味がする。ただし、ソースは何も無いし、カウンターに準備されているのは小袋にはいった砂糖と塩と胡椒だけ。まさか砂糖はかけられないから塩と胡椒で食べたけど、味としてはなあ。おもしろいけど2度は食べたくないなあ。
 ⑤ 同じカウンターで注文したお皿によそられていた鳥カレー。あでやかな明るさのカレー色で香りも良かった。一口食べると単純な辛さにうれしさがこみあげてきたのであるが、しだいに甘さが勝ってきた。しまいにはものすごくしつっこい甘さが前面に出て、嫌になってきた。これはあきらかに砂糖を大量に使ってある。甘口のチャツネではない。この味付けはなにか巫山戯ているのだろうか?鳥肉はこれもぱさぱさで、小さく切ってあるじゃがいもはやたら粉っぽいから、カレーとしては失敗作だ。千切りの玉葱がフォークにからみついてくるので物理的に食べにくい。カレーじゃあないのではないかと思うむきもあるかもしれないが、注文するときに「カリー!」と言ったうえでよそってもらったのだから、あれはあきらかにパリで観念されるところのカレーであるのだ。
 ⑥ ピザのカウンターで注文したピザ4分の1。名前は分からず。全体として大きめだから4分の1といっても一人が食べるには十分。見た目はトマト味のソースとチーズがまだら模様に焼き上がっていて、とてもうまそうだったのだ。しかしこれがどうしてどうして、思い出に残るピザであった。まずピザの本体部分はかなり柔らかめのタイプである。これは悪くはないとしても、問題は次だ。見た目にはトマトの赤色とチーズのアイボリー色と若干の焦げ目がひろがるだけだから、とくに警戒心をかきたてるような事情は見当たらない。しかしいざ食べてみると3口目にして、チーズと見えたところが実はただの下地にすぎなかったことに気付く。要するにトマトソースがいいかげんに塗りつけてあったために透けて見えた下地と焦げ目とが渾然となって、遠目にはちゃんとしたピザに見えたにすぎなかったのである。つまりは、面積にして半分以上が部分的にトマトソースの付着した焦げ目のあるナンみたいなものにすぎなかったのである。タバスコでもあれば無理矢理食ってしまうところだが、それもここには無い。少ないトッピングをフォークでこそげ落として食べた。生地のところは残した。なお、ピザは大きくて且つ焼く前の生地のときと変わらないくらいふにゃふにゃだったからプラスチックのナイフとフォークで切って食べたのだが、その結果、発泡スチロールのお皿はナイフによってこまかく切り刻まれてしまったのだった。
 ⑦ コカコーラ。これはちゃんとコカコーラの味がしたから、○。ただし量がやたらと多い。大きな紙コップいっぱい入っていて、しかも氷なんか入っていないから、正味コップの容量分が供給されている。もちろん残した。

7 本場のエクレア
8日。タンタンショップのある何とかというパッサージュを北に抜けて右折した先の菓子屋でエクレアを一つ買った。繁華街にたくさんある菓子屋のウインドーをのぞき込むと、どこの店にも何種類かのエクレアがあった。値段はたいてい8フラン。パリへ行ったらかならず食べようと思っていたのだ。
店のおばさんに、「アン、エクレア、スィルブプレ」と言ったけれど、エクレアという名詞の性別が分からないから「アン」で良かったのかどうか。でもおばさんは「アン、エクレア?」と聞き返してきたからいいのだろう、たぶん。
紙袋に入れてもらって歩きながら食べた。ひとことで言って、日本のエクレアのほうがよっぽどうまい。皮の部分がすでにダメだ。厚ぼったくてごわごわしている。咀嚼すると口の中でぼろぼろになる。しかもどこかに穴があいていたらしく、紙袋の中にクリームが漏れだしてきた。そのクリームは、なにかダマになって変なものが混ざっているような舌触りがする。ちゃんと作ったのだろうか。最後のほうを残して捨てた。

8 カフェのエスプレッソ
今回は2度カフェに入った、最初は凱旋門の近く。ここは足が痛くてどうしようもなく、ただ単に休みたかったのだ。次はオルセー美術館の裏。開館まで40分以上時間があったものだから寒さしのぎに入った。
どちらも文句無くうまかった。日本のコヒー屋でエスプレッソなど頼んだことはないから比較はできないのだが、苦みの濃さと少々の砂糖とが良く調和している気がする。コーヒーというのはちゃんとした味を楽しみながらいただくものなのだということにあらためて気付いた。コーヒー色の苦いお湯をがぶがぶ飲むものじゃないということだ。
オルセーの裏のカフェのお姉さんのフランス語は特記すべき心地よさだった。声が良いことをおいても、抑揚に富んでいて歌を唄っているような話し方をするのである。
ただ、あのエスプレッソカップがいかにも小さすぎ、この点だけは不満だ。値段は12フランと12・5フラン。高いのか安いのか分からない。

<総括>
ロンドンよりもやや旨い。しかし、東京のほうがもっと旨い。

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