コロナ終息か?モデルナがファイザーに対し特許侵害訴訟を提訴
新型コロナ禍以前はバイオ医療ベンチャーであったモデ
ルナ社が、2022年になり、世界最大の製薬会社であるファ
イザー社に対し、「メッセンジャーRNA(mRNA)」の
特許権侵害訴訟を提起した。コロナの深刻な時期には、モ
デルナ社は、特許権侵害訴訟を起こさなかったことから考
えると、パンデミック終息の判断がうかがえる。
モデルナ社は、2020年10月、COVID-19 ワクチンに関連
する特許権を行使しないことを発表していたが、2022年3
月になり、92の低・中所得国では特許権を行使しないが、
それ以外の高所得国では特許権を行使する意向の変化を示
した。モデルナ社は2022年3月からの高所得国における売
上に対する賠償を求めている。
2021年のCOVID-19ワクチン売上げは、モデルナ社が122
億ドルなのに対し、ファイザー社は 2021年に370 億ドルを
売り上げている。モデルナ社は、ファイザー社に大きく下
回っているため、モデルナ社は訴訟により売上げの格差の
改善を試みているのかもしれない。
コロナパンデミックの混乱の時期は過ぎ、イノベーショ
ン保護の原則と他社の特許権侵害を阻止するビジネス志向
が医薬品業界に戻ってきていると言える。